クランケの心臓は月の光を浴びるとみるみるうちに粒子化する。粒子化した心臓はキラキラと輝きまるで宝石のようだ。現在の医術では、その粒子化を止めることは出来ない、粒子化した心臓には魔力が宿り大抵の願いならばたちまち叶えてしまうらしい。しかし、心臓の粒子化が半分を越えるとクランケは生命活動を維持出来なくなる。私は、この奇妙な病に名前を付けた。まるで月蝕のように病に心臓が蝕まれていく姿から、この恐ろしくも美しい病を月蝕病と名付けよう。「月蝕病の治療カルテ」